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原点回帰にして新境地のシングル『逆光』をリリース 星野みちるインタビュー【前編】

秋元康先生が作詞してくださった『ガンバレ!』を
原点に戻ろうってことで新たにレコーディングしました

新レーベル「よいレコード會社」を立ち上げた星野みちるが、長い沈黙を破り第1弾シングル『逆光』を2019年3月6日にリリースする。プロデュースはサリー久保田、アレンジャーに岡田ユミ、アート・ディレクションと写真は信藤三雄が担当。今まで以上に彼女の透明感溢れる“歌”にフォーカスした意欲作となっている。

そこでインタビュー前編では、新レーベル「よいレコード會社」設立の経緯を聞き、『逆光』の全曲解説をしてもらった。

――社長になったきっかけから教えて頂けますか。
星野 今まではプロデュースをしてもらって、歌うというのが基本だったんですけど、これからは自分で作る曲を中心に歌って、ピアノも一から勉強して鍛え直してやりたいなって。

――自分主導でやっていきたいと。ピアノは毎日練習しているんですか。
星野 すごく練習してます! 今回の新曲で初めてピアノをレコーディングしたんですけど、アレンジャーさんにピアノのアレンジをしてもらって、譜面を頂いて。周りの演奏に合うようにピアノを弾くってこと自体が分からなかったので勉強になりますね。

――前作のアルバム『黄道十二宮 12 signs of the zodiac』が2017年6月21日リリースだったので、約1年半という長いインターバルを経てのリリースですが、いつぐらいから制作を始めたんですか。
星野 曲作りを始めたのが昨年の11月ぐらいで、レコーディングが決まって、大晦日に譜面を頂いてピアノの練習を初めて。12月にプリプロで、1月にレコーディングをして。

――かなり最近のことだったんですね。今まで以上にピアノと向き合って、曲作りなどに影響はありましたか。
星野 変わった気はします(笑)。今までの自分の曲も改めて弾き語りでやるようになりました。

――もともと定期的にライブで弾き語りは披露していましたよね。
星野 その時とは全然違うアレンジになってます。

――レコーディングのためのピアノ練習はいつぐらいから始めたんですか。
星野 大晦日に譜面をもらって、1月5日にはピアノのリハーサルがあったので、それまでに弾けなきゃいけないってことで年末年始はカウントダウンどころじゃなかったです。ずーっとピアノを弾いていました。

――ここからは『逆光』の聴きどころを1曲ずつ聞かせてください。1曲目は表題曲の『逆光』で、作詞が飯泉裕子さん、作曲が星野さん。
星野 今回はサリー久保田さんがプロデューサーでついてくれたんですけど、「ぜひマイナーな曲を作ってください」って言われたんです。それで「マイナーって何?」って曲をいろいろ調べて(笑)。

――確かにマイナー調の曲って星野さんは少ないですよね。
星野 よく分からなくて、「たとえば、どんな曲ですか?」って聞いて、教えて頂いた曲を聴いて、「なるほどー。暗い曲か」って(笑)。それで自分の心境も相まって、うまくマイナーな曲ができあがったんです。

――例としては、どんなアーティストの曲が挙がったんですか。
星野 ユーミンとか。

――めちゃめちゃ王道ですね(笑)。曲と詞はどちらが先なんですか。
星野 いつも私は曲が先です。初恋をテーマに淡い気持ちを思い出す、ちょっと切ない曲だったので、それを伝えて作詞して頂きました。なかなかタイトルが決まらなくて、最初は仮で『写真』だったんです。でも、「写真じゃないほうがいいよね」ってみんなで話して、最後のほうに“くすっと笑う”って歌詞があるから『くすっ』にしようかって案もありました。最終的には歌詞の頭に出てくる『逆光』になりました。

――歌とピアノにチェロとパーカッションを加えた今までにない編成が、星野さんの歌声を際立たせています。
星野 チェロとパーカッションをバックに、みんなで「せーの!」で録るのが初めてだったのでドキドキでした。ピアノをレコーディングしたことも今までになかったので、それもドキドキでしたね。

――ピアノのレコーディングが初めてなのは意外ですけどね。
星野 今まではピアニストの方が弾いて、それをライブで真似して弾くみたいな感じでした。でも今回はアレンジャーの岡田さんに「こんなに弾けるんだからレコーディングもしたほうがいいよ」って言ってもらって一生懸命練習しました。

――レコーディング時間はどのぐらいでしたか。
星野 確か3回ぐらい通しでやって終わったと思います。いつも歌うだけだったので、あんまり曲が作られていく過程が分かっていなかったんです。でも、こうやってみんなで録って、曲ができるんだって分かって、すごく楽しかったです。

――2曲目は一転して明るいロック調の『ロックンロール・アップルパイ』で、星野さんが作詞・作曲を手掛けています。
星野 この曲はサリー久保田さんから「みちるちゃんなりのロックンロールを聴いてみたい」ってことで、この時も「ロックンロールって何だろう?」と思って(笑)。

――ロックンロールも分からないと(笑)。
星野 それでYouTubeで検索して、いろいろ聴いて。そもそもロックンロールのリズム自体をよく分かっていなかったので、調べていて一番多かったリズムが「ズンチャチャズンチャ」だったので、これがロックンロールなんだと思って、あとはイメージで作りました。

――同じくサリー久保田さんがプロデュースしているSOLEILにも通じる音楽性ですよね。
星野 確かにSOLEILちゃんにも、そういう曲がありますね。最初の仮歌は歌詞が違ったんですよ。具体的に言うと、最後の「ロックンロール・アップルパイ」ってフレーズが、「ロックンロールって何?」だったんです。

――そのまま星野さんの気持ちが入ってたんですね。
星野 あとロックンロールといえばビートルズだってことで、メンバーの名前をちりばめて。今回は料理の詞にしようってことで、好きな人のためにアップルパイを作る子の気持ちを書きました。わりと歌詞は書きやすかったです。

――以前は定期ライブで料理を披露していましたが、アップルパイを作ったことはありましたか?
星野 なかったです。クックパッドを見て作った気になって書きました。

――ネットの依存率が高いですね(笑)。3曲目の『さよならブルーバード』は、共演する機会の多いコーラスグループ「Smooth Ace」の重住ひろこさんが作曲、岡村玄さんが作詞で、コーラスもSmooth Aceが担当しています。
星野 去年の2月にSmooth Aceのマンスリーライブがあって、それに呼んで頂いて共演したんですけど、その時に「一緒に歌う曲を作りたい」って言ってくれたんです。Smooth Aceさんたちの中で、私に初めて会った時、「笑っているけど目の奥が悲しそう」みたいな印象があったらしくて(笑)。それでできた曲なんですけど、初めて聞いた時はジーンと感激しました。2月にライブで歌ったきりだったので、この機会に入れたいってことでお願いしてレコーディングしました。

――弦楽四重奏と星野さんの歌声、Smooth Aceのコーラスが美しく絡み合って、エバーグリーンな輝きを感じました。
星野 マンスリーライブの時は打ち込みだったので、全く違う印象になりました。弦楽四重奏は臨場感があって素晴らしかったです。

――ラストの『ガンバレ!』は、星野さんがAKB48を卒業後、2009年4月25日にリリースした1stミニアルバム『卒業』の収録曲で、作曲は星野さん、作詞を秋元康さんが手掛けていますが、この曲を再レコーディングしたのは原点回帰みたいな気持ちもあったんですか。
星野 そうです。『ガンバレ!』も当時、秋元康先生が「星野に向けた曲」「辛いことがあったら口ずさみなさい」ってことで書いてくれたんです。今回は心機一転だし、原点に戻ろうってことで新たにレコーディングしました。

――当時と今では歌い方に変化はありますか。
星野 むしろ当時の一生懸命な歌い方が身に沁みつき過ぎていたんです。今回、この曲はアカペラで声を重ねて録音したので、どうしても当時の歌い方だと合わなくなってしまい、すごく苦戦しました。アカペラは4パートあって、もう一日がかりでした。どうしても力んでしまうので、「もっと力を抜いたほうが合うんだよね」って言われて……。結局、レコーディングの日が一日増えてしまいました(笑)。

後編では、「引退も考えた」という前作『黄道十二宮 12 signs of the zodiac』リリースから新レーベル「よいレコード會社」設立までの辛かった日々を赤裸々に語ります。
(取材・文=猪口貴裕 写真=長澤紘斗)

(商品情報)
星野みちる『逆光』
発売日:2019年3月6日
品番:YRCD-0001
税抜価格:1500円
フォーマット:CD
レーベル:よいレコード會社

収録曲:
1. 逆光
2. ロックンロール・アップルパイ
3. さよならブルーバード
4. ガンバレ!
5. 逆光 (Instrumental)
6. ロックンロール・アップルパイ (Instrumental)
7. さよならブルーバード (Instrumental)

猪口 貴裕

北海道出身。出版社勤務を経てフリーライターに。エンタメ系を中心に様々な媒体で節操なく寄稿。アイドル誌やゲーム誌の編集にも携わる。「LADY SOUL」主宰。